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2018年10月11日木曜日

【スピリチュアルイベントを迎える壱岐島の皆様へ】


 まずは以下、取材者からの提供や電話での聞き取りなどに基づき、書かせていただきます。人数や数字は主催者のブログからの情報や市とのやりとりによる概算です。


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 10月13日土曜日に、長崎県壱岐島で「縄文祭」というスピリチュアル系のイベントが行われます。
 happyちゃんというブロガー、旺季志ずか氏という脚本家、フジテレビの元プロデューサーなる人物が関わっている催しです。CS放送の深夜番組でも取り上げられる予定。主催はハッピーホールディングス、後援に壱岐市となっています。

 来島者のためのイベント参加チケットは3万3000円~8万8000円。これに宿泊費・旅費は含まれておりません。以前「シンデレラ・プロジェクト」と称し、東京の某所でタレント(当時)の小林麻耶さん、吉本芸人らを多数招いて行われたイベントでも同程度の参加費でした。

 壱岐島の外部から、「カリスマブロガーのhappyちゃんのファン」(主催者による)がメインでおよそ2000人が訪れる見込みです。筒城浜公園に市内の商店による飲食ブースが出て、屋外特設ステージでミュージカルを観劇、「平成ええじゃないか」を全員で踊り、ファッションショー、ダンス大会などを行い、花火やキャンプファイアーが上がるイベントは18時から23時まで続きます。

 その後、島の宿泊施設に泊まるのは2000人のうち300人程度で、1700人は寝袋による公園での野宿を敢行します。主催者によると「happyちゃんと同じ空間にいたい、トークを聞いて天の川を見て、同じ行動をしたいという女性達のための企画」。市の配慮で対応する予定だったイベント民泊は、寝袋使用の希望者が多かったため中止されました。寝袋は主催者側が準備済で、チケット代に含まれていて購入することになりますが、持って帰るか置いていくかの判断は自由。配送の対応はできません。翌朝は購入者には朝食が出て、瞑想やセミナーを行うとのことです。

 参加者の99パーセントが女性ということもあって、防犯上の観点から、壱岐警察署により主催者側への「野宿は好ましくない」という指導が入っています。これは強制力があるものではありませんが、同署では事前注意をしたということを強調されました。何かが起こったときの対応と、交通整備などの準備を進めているとのことです。
 市によると、防犯管理は主催者に委ねられており、主催者側で要請した警備スタッフの配置図などが自治体に提出されています。ステージ周辺に10人、観客誘導のために12人、花火警戒のために保安区域内に6人が立つ見込みです。
 花火とキャンプファイアーについて、防火のために壱岐消防本部も対応し、消防車両と救急隊員・車両が23時まで待機します。
 また、騒音については市から、地域住民への通知と配慮を主催者にお願いしたとのことです。実際に主催者がどのように対応するかは不明です。

 これらについては自治体を動かすために必要な最低限の手続きは行われたようです。

 島に訪れるための移動手段は船がメインですが、2000人の移動手段は主催者が保障できているわけではなく、前日入りするなど参加者の判断に任されている状況です。日常的に仕事などで島と九州を往復する方にも影響が出るということですが、臨時便などは9日現在では予定されていないとのことです。参加者は島に到着後、無料のシャトルバスで公園に移動します。

 島民には、イベントへの無料招待とシャトルバスの運行を通知した折り込みチラシが配布され、商店などにイベントのタイムスケジュールが貼りだされています。
 無料で入れる場所が決まっているとのことで、腕につけるタグなどを利用してチケット購入者とは行動範囲の差別化が図られるもようです。

(地元の方からの提供画像です)
   












 
 


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 取材と情報提供から分かった「書ける範囲のこと」は以上です。

 「なんだこれ…」
 世間の皆様には、そういった感想が多数ではないでしょうか。

 壱岐島で暮らす方々には何の落ち度もありません。
 壱岐市も、後援することになった立場で、観光客がたくさん訪れるものと考えて真摯に準備に取り組んでいることは責められません。ただ、あまりにも思慮が浅いということは言わせてください。不安を覚える住民がいるのに、主催者、後援する市とも上記のような情報公開が無さすぎる。

 イベントの詳細、この集団の素性などは調査しなかったのでしょうか。たかだかブロガーのファンが女性ばかり2000人も来る、世間一般の価値観とかけ離れた高額チケット、10月半ばに寝袋での野宿希望者多数… 事前に把握できただけでも違和感を覚える部分はたくさんあったはずです。
 
 スピリチュアル信仰自体は悪いものではありません。壱岐には美しく伝統あるスポットがたくさんあることも分かります。それとは別の話で、島のそういった長所を狙い、雰囲気を作って、龍、鳳凰、宇宙、UFO、レムリアなど、空想や妄想の類(スピの世界では常套句なのでしょうけど)を駆使して人の気分を高揚させて操るような人物達を公が認めてしまったことは問題です。このことは高額チケットを迷いなく購入するような若い女性の「のめり込み」に繋がっています。
 これは個人の感想にすぎないのですが、どこの世界の値段設定なんでしょう。素人のダンスとその界隈にしか知られていないミュージカルの観覧などと野宿のために旅費別で8万8000円。夏になりゃ無料で見られる花火をわざわざ打ち上げるコストですか? シークレットでポール・マッカートニーでも来て12曲ぐらい披露するなら分かりますが。

 壱岐市は、happyを観光大使に任命しています。取材をしてくださった男性によると、任期は定めていないそうですね。どこからどんな事情で薦められたかは知りませんが、どういった活動をしていて、どんな人の注目を集めているか、評判などを確認しなかったのでしょうか。「スピリチュアルブロガー」ですよ。そもそもの発端はここです。

 イベントと直接的な関係はありませんが、この後、happyの友人で彼女に比肩するブロガー「子宮委員長はる」が壱岐に移住します。女性をターゲットに、何の根拠もない「子宮の声を聞く」などという我流でスピリチュアルな自己啓発を展開してセミナーイベントや高額な物販をして稼ぎ「婦人科専門の霊能者」を自称しています。happyよりも、かなり分かりやすい人物です。
 信仰の自由という宗教の権利がありますが、彼女らは宗教団体ですらありません。ただ、多くの女性の思想や意思をコントロールしている事実はあり、今後どう展開していくかは誰にも分かりません。とても島民と共存できるような生活をしていないし、果たして互いに受け入れられるのか。そうなったら静かに隠居していられるのでしょうか。多くのファンや妄信する者が島に入ってきて元・子宮委員長を囲み始めて…。
 そうした「踊らされやすい」女性のメッカとなって、もし一般の観光客から敬遠されることになったとしたら、そこで後悔してももう遅いのですが、そうなる前に有識者や島の有力な人々できちんと話し合い、「今後はこうしたイベントには関わらない」と表明してみてはいかがでしょうか。
 早めの対応をお勧めします。故郷が、何だか理解できないものの聖地になってしまう未来がお望みなら楽観視していればいいですが。

 主催者が何者であれ、金儲けを考えたり、何かのために人を集めようとすることは当然です。そして、集客のために雰囲気作りをしやすいロケーションを選ぶのも当たり前です。それを批判しても仕方がありません。世の中、きれいごとばかりではありませんから。
 ただ、仮にも「おかしなもの」に対して注意喚起しなければいけない公共の組織が、あろうことか援助する形になって地元民に触れる機会を与えてしまった。さらに、その様子がアダルト特集をするような深夜番組で放映されて世間の目に晒され、実態がよく分からない集団に延々とイベントを実行した実績を語られてしまう。この事実は重いです。どうか言い訳や無視をせずに受け止め、次の対応を考えてください。

 イベント自体は、楽しいと感じる人もいるでしょう。島民同士の交流の場にもなるかもしれない。ただ、どんな集団かの事情を知ってしまっている人間は全く笑えません。

 ええじゃないか、ええじゃないか、ブスでもデブでもええじゃないか
 ええじゃないか、ええじゃないか、チビでもバカでもええじゃないか

 芸能人でも何でもないよく知らない人たちがステージに立って、こんな歌を流してみんなで踊るんですよ。何が面白いのか全く理解できません。大丈夫なの本当に?

 島の方々へ。既に私のところには違和感を覚えた地元の方々による取材協力や情報提供があります。同じような思いで少しでもこのイベントを見て不安がわいたのであれば、首長らを追及して答えてもらってください。
 私も愛読しているマダムユキさんのブログでも提言されています。ぜひご覧ください。

 → 【長崎県壱岐島の悲劇】


 私の母のルーツは同じ九州のとある小さな島にあります。壱岐よりも小さく、高齢化と過疎化が進んで人口も少ない島です。もしそこが今回のような状況に陥ったとしたら…。
 大切に思っている場所だからこそ、「何がおかしいことなの。楽しんで何が悪いの」などと言われたところで安易に許容できない感情は必ずあるし、島の将来を不安に思い、毅然と対応できなかった自治体への怒りしか沸かないと思います。

 島民でもない私がおこがましいことばかり述べましたが、高額で荒唐無稽なエセスピリチュアル信奉者によって人生に傷を負った一人として記しておきます。